川柳いろは歌留多
(月刊「現代」2000年新年号「ぼけせん町内会」より)
 

 いつのまに ヘソで風切る 女ども
 老妻の 性感帯は 肩と腰
 パン食で 愛国心を 失くしそう
 二科展に 落ちるタレント 見たことない
 ホステスが 名刺を配る 通夜の席
 平和ボケ 通してやるよ 北の国
 党名を 全部覚えて 馬鹿にされ _
 町内に 馴染まぬ事件が 多すぎて
 両膝に カバンはさんで 駅の蕎麦
 ヌード写真 出す馬鹿買う馬鹿 さわぐ馬鹿
 ルーズソックス ママのは自然に 落ちている
 (該当なし)
 悪いのは それじゃ一体 誰なんだ
 監督は 家でも一匹 飼っている
 夜這いじゃない 宵のうちから 泊まってた
 ダイエット まず脳みそが 軽くなり
 列島が バナナに見える 日本売り
 そんな事 しそうにないから 恐いんだ
 つかぬこと 伺いますが 男なの
 年賀状 出したい人に 出せぬわけ
 ナイターは 黙って見よう 解説者
 楽隠居 ひきずり出して 金庫番
 むかついた そんなお前は ツワリかい
 浮気など していないけど 妻こわい
 (該当なし)
 飲むよりも 一物移植を 格安で
 親の顔 見なくて判る 子の行状
 熊が出た 出たんじゃなくて 行ったんだ
 山が好き だったら下りて こなきゃいい
 マフラーと ポマードの間 だれだっけ
 携帯が 糸電話めく 至近距離
 ブルータス お前の出番が 多すぎる
 コトコトと ゆれてる落とし 蓋の夫(つま)
 えらいのは 君のオヤジで 君じゃない
 凸凹を 書く順番で 悩んでる
 あれだけの 押収文書 読む気なり
 西行は 花の下俺は 腹の上
 気がつけば 自分だけが貧乏だ
 浴衣がけ ギャル平然と 左前
 メシの種 絶やすものかと 弁護団
 看取る手も 看取られる手も 骨と皮
 週刊誌 いっのまにやら 毛が生えて
 (該当なし)
 人ゴミに 入ると私も ゴミですね
 燃えつきた 男を包む 段ボール
 狭くても 亭主またいで 行くなオイ
 捨てる神 ばかりで拾う 神は居ず
      (以上千人の優秀作品より山藤章二選)
(代え句)
 恥をかき ノックアウトか ノックさん(大阪市民)
 溜まらない 銀行頭金は 誰のせい?(嘆きの庶民)
 二人連れ 相手は誰?と 聞く家内 (不倫ぐせ)
 定年後 自由時間を 持て余し (元会社人間)
 悠然と 街行くギャルの 高さかな (見上げる男たち)
 んじゃまた 出直し上佑 何をする (オウム恐怖症)
                        (以上読み人 市瀬師匠)